2021/10/21 19:00
ブレッジェンドから徒歩5分、森の中を進むとアイラハウススクエアという場所に辿りつきます。
ここはその名の通り、家(ハウス)が四角く(スクエア)建ち並ぶところで、城を囲む城壁のように広場を囲んで築百年は経っているであろう建物が並びます。
その一角にあるのがIslay Alesという醸造所があります。醸造所といってもガレージ2つ分くらいの小さな場所でおじいさん1人でビールを造っていました。始めていったときは、解放させていますが中には誰もおらず入るのも憚られました。
そしてなんとこのアイラハウススクエア内、アイラエールの前の建物に引っ越すことになりました。
ブリッジェンドから森を抜けて歩いてくると写真中央の門を通ってこの広場に入ってくることになります。
引っ越したころは既に日の長い時期は過ぎており、引っ越して初めての仕事帰りの時のことです。
『マネージャーが暗いから懐中電灯を持って帰りなさい』
と言ってくれたのですが、暗いといっても月明かりがあるので大丈夫だと思い、断って帰りました。
しかしすぐに後悔することになります。
道を歩いているときはよかったのですが、森に入った途端、月明かりは木々で遮られ、本当の真っ暗闇。
何一つ、うっすらとした影すらわからない、なかなか想像が難しいかもしれませんが、正真正銘の暗闇でした。
進むべく道すらわからない状態でした。
今からすると携帯のライトをつければいいじゃないかという話なのですが、当時iPhoneをイギリスで初めて買って使っていたので周りに教えてくれる人もなくiPhoneの機能を全然知りませんでした。
そこでその時にした事。これ本当の話なのですが、フラッシュをつけて写真を撮る。パシャ
すると一瞬だけあたりの光景が見えます、目に焼き付けたその光景を頼りに数歩進む。そしてまた写真を撮る。その光景を頼りに数歩進む。これを数十回くらい繰り返してなんとか帰りつけました。
日本で考えるとこんな暗闇、しかも森の中を夜に独りで歩くなんて怖くて仕方ないと思うのですが、何故か不思議な感覚で怖さはまったくありませんでした。
そうしてアイラハウススクエアに辿りつき門をくぐって中庭に入った瞬間、そこには衝撃がありました。
四角い夜空!!
星が本当に降ってきそうなくらい真っ暗なキャンバスにキラキラと輝いていて、アイラハウススクエアの正方形に切り抜かれたような空でした。
田舎の小さな島、近くに明るい建物なんてほとんどなく、森の中にあるこの場所では、私の人生では見たことのないほど美しい夜空でした。
この後この光景をみるのが仕事終わりの一番の楽しみとなりました。
毎日懐中電灯を照らして森を歩いて帰るのですが、門の手前でライトを消し、暗闇に目を慣れさせます。
そして門をくぐった瞬間に見える、四角い夜空。これを見るとすべての疲れを忘れました。
満月の日には驚くほど明るいのです。月の明かりが周りのすべてを映し、昼間かのように明るく照らします。
これは体験しないと想像は難しいかもしれません。文才がなく鮮明にお伝え出来ないのがとても苦しく思います。
今のiPhoneだったらこれを写真や動画でお見せできたことでしょう。こんな写真しかなく申し訳ございません。
引越して数日後、改めてブルワリー(アイラエール)に伺いました。
おじいさんがいらっしゃりましたが、中を好きに見ていきなさいといった感じでした。
小さなタンクがいくつか、これだけのかわいい小さな醸造所でした。
風のうわさにあのおじいさんは亡くなったと聞きました。さみしいですが、あの時はありがとう。
でも調べてみるとまだあるようなので、後継者に受け継がれていることでしょう。
また改めて調べて驚いたは、アイラスクエアに『アイラジン』という会社が入っていました。
今はジンを造っているところもあるんですね。いつかまた、あの地に戻りたいです。家族を連れて行ってあげたいと今は想います。