2021/10/17 19:00
番外編
ロンドンで配送業を手伝っていた時の伝手でウィンブルドンで仕事があるので来ないかと依頼をいただきました。
前年も遊びには行っておりましたが、ビザの2年間でもう次のチャンスはないと思い職場に相談したところ、快くお休みをくれました。
そうしてロンドンへの弾丸ツアー決行です。片道20時間。ポートアスケイグからフェリーに乗り本土へ、本土と言っても端の方なのでそこからグラスゴーまでバスで3時間、グラスゴーからロンドンは電車なら5時間ほどで行けますがお金がないので激安深夜バスで12時間、バスはロンドン中心部に着きますのでそこから電車でウィンブルドンまで、往復£100(1万伍千円位)。
そのために無理言って仕事4連休とったので前後は8連勤ずつ。ウィンブルドンのファイナルの夜に一夜だけ働いて次の日はすぐ帰ります。当時30歳、ギリいける身体でした。交通費宿泊費を考えるとバイト代はマイナスでしたが、とてもいい経験になりました。
テレビ関係の裏方の仕事で試合が終わって撤収時の作業だったので、とりあえずパスがあるので日中は好きに過ごしていいよ言ういつも粋な社長さん、いつも遊びがからむ仕事に呼んでくれるんです。
前回は安いチケットで入ったので注目試合はなく空いていましたが、さすがファイナルすごい熱気です。
社長さんのご厚意でお酒も飲んでいいというので(なんと素晴らしい)、さっそく。ウィンブルドンと言えば、『ピムス』です!
「Pimm's No.1」というリキュールがあります。
1840年、ロンドンでオイスターバーを営んでいたジェームス・ピムが、ジンをベースにフルーツのエキスなどを配合したオリジナルカクテルを作り、それが「ピムス」の始まりとなりました。これを後継者が誰でもそのカクテルを作れるようにと、予めブレンドされた混成酒にしたのがこのリキュールです。
このピムスをソーダ割りしてキュウリをやフルーツを入れたものがロンドンのパブではよく飲まれます。女性にも飲みやすくおすすめなので、イギリスに旅行に行った際はぜひ試してみてください。キュウリが入っているので最初は驚きます。
話は戻りますがピムスのレモネード割りがシャンパンと共にここウィンブルドンでは定番の飲み物となっています。
そしてピムスと共に定番になっているもの。ウィンブルドンの名物といえば、ストロベリー&クリームです!
伝統的にロンドン南東部にあるケント州の厳選イチゴが使用されているそうです。テニスの試合の合間にこれを食べるのは、ヘンリー8世の右腕といわれたトマス・ウルジー卿が、敷地内で行われるテニスの試合を観に来た人々に苺を振る舞ったことに由来しているとか。
そしてこの年特に熱かったのがこの人、アンディ・マレー!
2年連続決勝進出のアンディ・マレーと2年ぶりに決勝進出を果たしたノバク・ジョコビッチの決勝戦。マレーが勝利しウィンブルドン初優勝。イギリス人がウィンブルドン男子シングルスで優勝するのはフレッド・ペリー以来77年ぶりとなったそうです。
このアンディ・マレーがなんとスコットランド出身者だったようで、アイラ島に戻るとみな興奮していて、彼の話題で持ちきりでした。
やはりスコットランド人はイギリスという括りではなく、スコットランド民というところに誇りを強く持っている民族性なのですね。
そしてウィンブルドンでの仕事を終え、その後の出勤もへとへとで過ごしているなかのアクシデントをひとつ。
ディナーの大混雑中に停電しました。それもついたり消えたりを10回以上繰り返して、最終的にはつかなくなり、ローソクの火をたよりに料理を作りました。幸いこの国ではこの時期夜でも外が明るいので、キッチンの小さな窓の明かりも助かりました。
小さな島なのでこういうことよくあるみたいです。因みに写真に写ってるシェフはこの数分前までブチ切れてました。
『暗闇の中で野菜しか見つからなかったから、こんなまかないしか作れなかったよ』といって出してくれた物が何故か今までで1番美味しかったです。